ちょっと古い話ですが、6月10日は忙しい日でした。シカがノリ網にかかって駆除出動が朝と夕方に1回ずつ。日没後、わな駆除班のヒデさんからイノシシの大物が獲れたとの援軍要請。
特に箱わなに入ったイノシシは、後に測定したところ80キロ近い大物でなかなか手ごわい相手でした。日没後であるため銃は使えず、2振りの槍を使って止めをさしました。
他の駆除員あわせて4名で箱わなを取り囲み、わなを仕掛けたヒデさんが正面から、金ヤスリから削りだした槍を突きつけると、シシは逃げるどころか穂先に噛み付き反撃を試みます。ヒデさんも脇を締め込みねじ伏せようとしますが、ギィギィという怒りの声と共にシシが首を振り上げると扉の枠が跳ね上がり、下手をすると逃げられてしまいそうです。支部長とS保護員が扉を押さえます。
私はもう一振りの槍を借り、シシの左横側に回り込みスキを伺います。シシの体が金網に近づいたところで、頸をめがけてエイ、ヤァ! と気合一閃!
…かっこよく決まれば良いのですが、一突き目は喉の皮を破っただけ、逆に暴れたシシに押し返される体たらく。気を取り直してもう一突き、今度は耳の下の血管に入ったようで、シシがひるみました。今度は前からヒデさんが顎の下、喉元に一撃。私も一度槍を抜き、再び頚動脈を狙って突き刺し、槍をゴリゴリとこじるとボタボタと鮮血が流れ、やがてシシは倒れました。フーッ、フーッという苦しそうな呼吸が止まるまで、2分ほどかかったでしょうか。
シシを刺した2振りの槍は穂先が付け根から曲がり、バターナイフのような形にゆがんでいました。
シシはオリのような箱わなに入っていたため、こちらの身は安全ではありますが、渾身の力をこめて金網に体当たりし、槍に噛み付くイノシシはなかなか怖い物でした。
すでに時刻は9時を回り、とっぷりと暮れた闇の中、獲物をガレージに運んで解体すると、今の時期には珍しく、しっかり脂が乗っております。このお肉は皆で分配した上、一部は駆除見学会のバーベキューに使いました。
逃げようの無い箱わなに捕らえられ、槍で突き殺されたイノシシは気の毒ではありますが、その肉は我々の体の一部となって命をつないでおります。
写真は昨猟期の別物ですが、大きさは大体同じくらいでした。