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2011/03/24

シカの捕獲数バイアスについて

Tweet ThisSend to Facebook | by kanri
シカ、イノシシの猟期終了から10日が経ちまして、本格的な集計はまだですが、平成22年度兵庫県内のシカ捕獲数は昨年、一昨年(約2万頭)を大きく上回り、目標の3万頭を超えることが確実となっております。
 
県の政策の根拠となっているシカの生息状況推定は以下の通りです。
 
自然増加率(年間)  推定値15%     90%信頼区間 8.5%から26.9%
自然増加数       推定値21,507頭  90%信頼区間 16,682頭から36,288頭
生息頭数        推定値143,812頭 90%信頼区間 63,063頭から414,707頭
 増加率は1999年から2008年までの標準値、
自然増加率及び生息頭数は2008年の推定値。いずれも兵庫県本州部についての推定。
※「兵庫の林業 No.252 平成22年4月」に掲載 「兵庫のワイルドライフマネジメント -シカの生息動向-」兵庫県森林動物研究センター 坂田主任研究員 より引用。
 
 もちろん、シカの生息数の推計というのは非常に難しいことで、例えば岡山との県境のシカはどう数えるのか、とか、妊娠中のメスはどう扱うのか、とか、推定を困難にする要素はたくさんあります。
 
 先に挙げた昨年度の捕獲実績2万頭、22年度の捕獲数3万超という数字は、兵庫県内の登録狩猟者や有害捕獲従事者…要するにハンターの報告をカウントした数字なのですが、残念ながらこれは非常にあやふやな数字であります。
 
 まず、昨年までの自己申告の数字は、おそらく過少だったはずです。猟期中のシカの捕獲数は出猟カレンダーおよび狩猟者登録証の返納の際に申告するのですが、これを面倒臭がって「捕獲ナシ」と報告するハンターが多い。逆に、数名のグループ全体で捕獲した数を「個人の」捕獲数として重複して報告する例もあるのですが、報告をサボる例の方が多いだろう、というのが私の予想です。また、未回収の獲物、半矢で死んでいるシカも把握できません。おそらく、2万頭が捕獲数として報告されているということは、2万5千頭程度、狩猟と有害捕獲で数を減らされているんじゃないかなーと思います。あくまでも憶測ですけどね。
 
 ところで、今年はシカの捕獲数は逆に過大申告になるはずです。4月初旬に確定される数字は、たぶん3万6千頭くらいになると思いますが、これは実数よりも過大になっていると思います。なぜかというと、22年度はシカの捕獲に報償金が付いているのですが、一人あたり3頭目から、しかも累進的に、1頭あたり2,500円から6,500円を受け取ることになります。
 と、いうことは、そんなに熱心でないハンターは…例年2,3頭捕獲しているくらいの人は、報償金受け取りの手続きを嫌ってエントリーしておらず、捕獲の証拠となる前歯は他のハンターに譲ってしまっている可能性が高い。しかし、猟銃の使用実績と出猟記録を整合させるために、出猟カレンダーや狩猟者登録の報告は、捕獲実数を申告するはずです。というのも昨年から警察は猟銃の使用実績や実包の消費について、厳格な管理と記録を銃所持者に求めていますので、県農林管轄であるところの狩猟報告も急に厳格に行うようになるであろう、と思われるのです。
 さらに、これはあくまでも仄聞であって、悪い冗談だと思いたいんですが、報償金受け取りの証拠となるシカの前歯を、他県のハンターから買い取ったり、シカの埋設地を掘り起こして、歯を採取したり…という不正も起こっている可能性があります。この可能性にまで言及したらキリが無いんですが、提出された歯のうち1%くらいは不正なものも混じっているかもしれません。
 22年度の捕獲数は、昨年度よりもかなり多い事は疑いありませんが、1割程度は割り引いて考えるべきでしょう。
 
 シカの生息状況の推計は、かなり誤差の幅が大きく、私は
「こんなの基準にして政策考えて大丈夫なんかいなぁ」
と思っていたのですが、シカの死亡総数をカウントすることができていない以上…交通事故やノリ網事故、密猟の統計はとられていません…推計が困難なのも無理からぬことです。
  さらに、ハンターの不精が生息状況推計の錯誤に拍車をかけているのであれば、そのツケはハンター自身にもかかってくる事になります。

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