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2010/10/13

ダガーの規制に今更モノ申す

Tweet ThisSend to Facebook | by kanri
ダガーは諸刃の短剣で、2008年6月の秋葉原通り魔事件を受けて2009年1月より銃刀法により所持が禁止されました。
 
 ある事件の凶器に使われたからといって、ただの道具である刃物や銃を一律に規制するというのは全くナンセンスな話で、雨を恐れてテルテル坊主を吊るすような行動だと思うのですが、そういうことを現代の日本でもやってしまうんですねー。
 死亡事故が起きたといってはバイクを規制し、スポーツカーを規制し、自殺に使われたと言っては入浴剤が販売自粛され、なんという窮屈な社会なのでしょうか。日本ではここ数年、練炭自殺が「流行」していたようですが、英語圏では「自殺バッグ」というビニール袋を改造した袋を頭に巻きつけて自殺するのが流行しています。さすがに練炭やビニール袋は規制できないでしょう。一方で、ダガーなんて無くても誰も困らないだろうということで、簡単に規制されてしまう。
 
 先日、箱わなに入った2頭のシカを殺処分しました。そんなに大きなシカではなかったので、わなの金網の隙間からナイフを差し入れて首を切って殺すことにし、まず1頭目。
 ちょうどその日は銃による有害捕獲に従事していたので、片刃のミートナイフ、いわゆる骨スキを持っておりました。
 ノリ網やわなの殺処分をすることもちょくちょくあるので、なるべく苦痛を与えずにシカを殺すために、骨スキは必要以上に細かい砥石で、剃刀のようにキンキンに研ぎ上げてあります。シカが金網に近寄ったスキに白刃一閃、首の付け根から前足までスパーっと、ジッパーで開くように大きなスリットが開きました。もちろん頸動脈を切断し、あっという間に崩れ落ち、おそらくほとんど苦痛もなかっただろうと思います。
 しかし、問題は2頭目です。1頭目よりもやや体格が良く、激しく逃げ回ります。その上今度はナイフが切れない。
 細かい番手で刃物を研ぐと、一太刀目の切れ味は良いのですが、刃先の細かいギザ目が潰れやすいのか、すぐに切れ味が落ちてしまいます。精肉作業をする際などは、あまり細かい番手までは使わず、頻繁なタッチアップで切れ味を保つのです。
 こんな時、諸刃のタガーであれば裏表の刃を使えるので、2頭であれば問題なく殺せたはずです。また、切りつけるのでなく刺突するにしろ、刃の方向に傷口が斜めに開くことがないので急所を突きやすいし、刃がどちら向きか考えなくて済みます。
 
 確かにダガーの多くは武器としての危険さを顧客にアピールして商品性を高めていたかもしれませんが、この世に存在する道具には必ず意味、値打ちがあり、他のもので代替できない機能があるのです。それを無視して凶器となったモノを規制すると、どこかで必ず不便な思いをする人が出てきます。
 
 悪いのはモノではなく、暴力で他人を傷つけよう、屈服させよう、問題を解決しようという邪悪な意思そのものです。凶器を規制することで、悪意に対峙することから逃げて、何かが良くなるのでしょうか。

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