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2010/09/10

シカは難しい獲物!?

Tweet ThisSend to Facebook | by kanri
シカの繁殖による問題って、日本だけじゃないって知ってました? シカ類全般、欧米のElkやRed Deer という意味じゃなくて、海外で定着したニホンジカ、その名も”Sika Deer” の話です。
 
 ニホンジカはかなり多くの地域に移入されていて、ざっと挙げてもオーストラリア、オーストリア、デンマーク、ドイツ、イギリス、フランス、アイルランド、フィリピン南部のホロ島、ニュージーランド、ポーランド、モロッコ、米国メリーランド州、バージニア州、テキサス州、ウィスコンシン州、カンザス州。多くの場合、自然公園内に移入されたものが野生化しているそうで、日本同様の食害に加え、在来種との交雑による遺伝子汚染も問題になっているそうです。
 
 もちろん外来種が野生化することはそれだけで問題があるのですが、海外のニホンジカは別の意味でハンターに特別視され「特別な獲物」とされているとか。
 欧米在来のシカとニホンジカで何が違うか。それはハンターと接近した時の逃げ方だ、と言われております。 日本のハンターも、猟場で出会ったシカが「すくむ」という表現をしますが、シカがハンターから見えにくいように藪の中や木の後ろに隠れて、しかも、ハンターから投影面積が小さくなるように正面を向いて潜んだりすることがあります。杉の幹の陰に入って、片目の半分でハンターをジーと見ていたりするんです。シカも賢いものだなぁ、なんて感心することしきりなんですが、こういう隠れ方、欧米のシカさん連中はやらないんだそうです。 
 
"They  have a marked tendency to use camouflage and concealment in circumstances when Red deer, for example, would flee; and have been seen to squat and lie belly-flat when danger threatens in the form of human intrusion.”
 
”ニホンジカは環境中への偽装や潜伏を行う傾向がある。人間が接近しており、例えばアカシカであればただ走って逃げるような状況でも、ニホンジカは屈みこんだり腹ばいになったりしてやりすごす場合がある”
 
 ニホンジカは用心深く知恵が働くため、アカシカやダマジカの3,4倍は難しい獲物で、さらに、たとえ発砲できたとしても、矢に強いために射獲に至る可能性が低い、というのです。
 ニホンジカはシカ類の中でも急峻で人間との接触が多い日本列島で「鍛えられて」いるのでしょうか、欧米のハンターの実感として難しい獲物であるようです。
 でも、欧米の広大な大陸や、標高の高い山脈が無い英国で代を重ねれば、やがて欧米在来種のようにのんびりした逃げ方になるのではないかなーと思うのですが、どないなんでしょうか。
 ちなみに関東のハンターが兵庫県に来た時、山の状況に加え、シカの逃げ方が全く違うことに驚いていたそうです。また、兵庫県でも播磨と但馬ではシカの逃げ方が違う、とも聞きます。
 
 狩猟の技術は文献的に伝達することが難しいので、文章を読んだだけでは何とも言えませんが、日本のシカが海外で獲物として特別扱いされているというのは、ちょっと誇らしいですね。
 
 今日の記事はウィキペディア英語版「ニホンジカ」(Sika Deer)が元ネタです。

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