先週土曜、朝から神崎郡で猟友数名とカモ撃ちにいっておりまして、昼前にそろそろ帰ろうとしているところに、姫路市N事務所のY所長から電話。姫路市の北西、つまり神崎郡との境界付近でシカがノリ網にかかって暴れている。保護員さんと連絡が取れないので来てくれないか、とのこと。カモ撃ちですから銃はあるし、念のために大物用の弾、バックショットも2発持っています。
現場に着くと、幸い谷の奥の農地で近隣に家はなく、通常の狩猟として発砲可能な状況でした。シカもかなりの大物で、ノリ網の弛みも大きく危険な状況です。
ノリ網にかかったシカを止めに行くと、最初はノリ網を引っ張って逃げようとします。正確に言うと、逃げるのではなくノリ網の弛み、自分のリーチを探っているようなのですが、その一呼吸後には人間の方に全力で突っかかってきます。
シカの可動範囲から身を引き、にらみ合います。シカは闘牛のように頭を下げ角をこちらに向け、蹄で土を蹴ります。棍棒とナイフで止めるときは大変ですが、今回は銃なので簡単。こちらを向いた左の目玉を狙ってパン! ボテン! さすがにこういうときは失中しません。顔面にきれいに正露丸のようなOOバックが散らばり、狙った目玉はカラスにつつかれたようにきれいに潰れていました。顔を狙うと、血を出さずに即死するので現場の引上げがしやすいのです。
本当に映画のような情景なのですが、処理が終わったところで、何処から出てきたのかおばあちゃんと若奥さんが子供を抱っこして、
「こんな大きなシカ、怖くてどないしようか思ってたんです。すぐ来てくれて助かりました」
また、畑の持ち主のおじさんがしきりに
「ええ角やなぁ~」
と言うので、角は鋸で切って、記念に進呈しました。
さすがにそのシカは私のセダンには乗りきらないので、借りた軽トラに積載して意気揚々と引き上げたわけですが、気分は時代劇の用心棒か西部劇の保安官です。平穏な生活を脅かす野生動物との軋轢。これ、現代日本の現実、50万都市姫路での出来事なんですよ。