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2011/07/13

レバ刺しも猟師の特権になるのか

Tweet ThisSend to Facebook | by kanri
生肉食中毒騒動、なかなかおさまりませんね。レバ刺をはじめとした生肉の禁止も検討されているようで、なんだ、我が国の政府は何でもかんでも規制すりゃ仕事したみたいな顔しますねぇ。

 猟師仲間でも賛否あるのですが、私はシカの生レバーが好きで、特に人にシカ肉を分けてくれと頼まれた時は、なるべく生レバーを試食して、肉全体の品質を確認するようにしたものです。
 レバーは匂いが出やすく、また、個体の栄養状態も敏感に反映されるので、レバーが旨けりゃ肉も旨いものなのです。

 ところで、寄生虫が少ないと言われるシカであっても、やっぱり生食は、勧める相手は選びます。食事と言うのは、何を食べてもある程度、食中毒やなんやのリスクがあることを承知して、それでも旨いものを食べたいという覚悟がないと、ヘタに勧めて訴えられたらたまりません。

 私、基本的に自称グルメみたいな人はイマイチ好きになれないんですが、生魚が旨い北陸の方だと、アレルギーがあるのにサバが大好きで、抗ヒスタミンの注射を打ちながらバッテラ食べる人が居たりするものです。ここまで徹底してる人はさすがにあっぱれですね。


 先日、金沢の季節料理店で、ツキノワグマの刺身をいただきました。と、文章で書くとちょっと抵抗がありますね。野生の雑食動物の生肉ですから、大丈夫なのかな、という感じになる。
 味? そりゃー旨いです。絶品です。脂身が多いんですが、ちょっと似た味を表現することが難しいですね。クジラのウネのごくいいヤツとか、和牛の脂身の甘みに香ばしさも加わったような、とにかく、簡単に手に入る食材では似たものは無いですね。

 さて、シカのレバーも、刺身で食べると旨いのですが、これも処理にちょっとしたコツがありまして。

 シカって動物には、胆嚢が無いんですね。胆嚢というのは、クマノイとかシシの肝と言われる、胆汁を蓄える器官です。中に詰まっている胆汁は、黄緑色でとても苦い、一種の消化液で、肝臓で生成され、消化に必要になるまで胆嚢に蓄積されているのです。
 シカの場合、胆嚢がない代わりに、胆汁は肝臓の中に蓄積されています。シカのレバーを輪切りにすると、中心部にリンゴの芯のような空洞があり、ここに胆汁が詰まっているのです。
 これを知らずに、胆汁抜きをしない肝臓を料理すると、なんともにがーい嫌な味になってしまいます。シカのレバーを調理する時は、殺した後にさっさと摘出し、大きく切り目を入れて水にさらす必要があります。もしくは、胆汁の少ない、肝臓の上半分のみを食べる。


 新鮮なシカのレバーは、牛のそれよりも旨いと思います。食べ方は生レバそのもので、ごま油と塩で、ちょっと薬味をつけていただく。
 ストレス無く死んだシカは、肝臓に大量のグリコゲンを蓄積しており、肉の赤身の甘みも同じくグリコゲンの味なのですが、肝臓の方がその濃度は遥かに高いので、味も濃厚です。

 レバーは火を通すと、パサパサした感触になり、血の匂いも出やすい。生の方が食感も良く、食べやすいのは間違いありません。

 猟師や、その周囲の人は、リスクを承知で旨いものにありつけます。生レバーを食えるのも、猟師の特権になってしまうのでしょうか? もともと牛よりも旨いシカのレバーです。これはちょっと、人のウラミを買ってしまいそうな話です。

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