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2011/03/29

ご挨拶

Tweet ThisSend to Facebook | by kanri

2010年度もいよいよ終わりです。

今年度、姫路支部はシカ対策に終始した印象です。

 現在、兵庫県では鹿が増えすぎ…と言っても、何頭生息しているかというのもだいたいの推計しかないんですが、少なくともシカに作物を食べられてしまうので農業を辞めたい、という方が居るくらいで、何とかして捕獲を推進して数を減らせ、と政策的に勧められております。

 畑にシカが侵入するのは、垣を設ける等の対策で防げますが、林業被害や植生の衰退はさらに根が深い問題です。シカ対策と言うと農業被害ばかりが注目されがちですが、下層植生の衰退の方が厄介な問題でありまして、佐用や豊岡で甚大な水害が発生したのも、シカが多い地域であるということと無関係とは思えません。

 天敵がいない状態では、シカは際限なく増えるように思われます。洞爺湖中島のシカは、樹皮はおろか落ち葉も食料として増殖を続けました。カイバブ高原もまたしかり。鹿は天敵が居なければ、植生をボロボロにするまで増え食べ続けるのです。

  シカを増えるに任せるのでは、山林の保全もままならないのですから、ハンターによるシカの捕殺ももちろん実施されるべきなのですが、ハンターの伝統的な捕獲技術というのは、群れ全体の数を減らさないで末永く捕獲を継続すること。必ずいくらかのタネを残して、群れを根絶やしにしないような捕獲法しか、我々は知らないのです。
 また、猟友会の幹部でも「有害捕獲の仕事をなくさないように、ほどほどに捕殺する」と明言していますし、自分自身の生計にかかわる公務員ハンターはなおのこと。ハンターが主導権を握っている限り「目に見える被害」が無くなるほどにまでシカの数を減らす事はできません。

 冗談でもなんでもなく、抜本的にシカの数を減らそうとするのであれば、ある程度の事故が起こるのを覚悟してでも自衛隊を投入して、重火器を使用したり、人数にモノを言わせて崖に追い込んで皆殺しにすることが必要でしょう。しかしながら、有害捕獲でハンターに権益があるかぎり、ハンターは全力で実現を阻止するでしょうね。
 そうなると、私が危惧する最悪のシナリオは自由狩猟の全面規制。生態系のバランスをとるのに、ハンターは邪魔だと言われてしまいます。


 オオカミ再導入という発想も同じ問題をはらんでいます。家にネズミが出るのを嫌って猫を飼うのとは、問題の複雑さが違うのです。一番の問題は、生態系の複雑さを考えずに、風邪をひいて熱が出たら座薬を入れて解熱するのと同じように、特効薬があると信じてしまう我々人間の傲慢さ、愚かさなのです。

 シカの数を減らして農林業被害を「何とかしよう」という発想では、人間と野生動物の…もっと有り体にいえば、自然保護派の人間と産業優先派の人間との対立は無くならないのです。
 
  人が思い描く理想郷といえば、鳥は唄い花は咲き、川は満々と水をたたえ、緑の大地に獣が闊歩する光景です。せっかく兵庫県はシカが増えすぎるほど増えることのできる環境があるのですから、これを肯定的にとらえて、生物の楽園を作ることもできるはずです。

 兵庫県の狩猟が、心豊かな物で有り続けることを祈念して。この世で人と獣と鳥たちが、共に豊穣の大地を歩める明日を夢見て、擱筆する事にします。


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